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2016年6月23日 (木)

山の中から藍鉄鉱が!

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 滋賀県東近江市の山中で、建設会社が倉庫建設のために山を崩して広場をつくりました。工事は昨年の末から行われていましたが、最初は山の木を切って表土を剥ぐのに時間がかかり、赤茶けた土があたりを覆っているだけでした。

 そのあたりの地層は、内部が古琵琶湖層群の粘土であることが推測されます。古琵琶湖層といえば、およそ300万年前後の昔に、古い琵琶湖の底で堆積したものですね。その中には貝や樹木の化石を含んでおり、まれには像の化石も発見されています。年代は火山灰層から推測できるそうですが、その造成地の地層がどれくらい前のものか、私には詳らかでありません。

 古琵琶湖層粘土中の鉱物としては、たまに藍鉄鉱のノジュールが見られることがあります。私が幼いころに初めて鉱物採集をしたのが、佐久良川の川床に現れた古琵琶湖層の中の藍鉄鉱のノジュールでした(このブログの始まりのページ参照)。
 それで今でも私は、川床に粘土層が現れたり道路工事などで古琵琶湖層を削っているところを見つけると立ち寄って、藍鉄鉱はないかと探しています。この造成地の近くにも、工事で古琵琶湖層の地層が出ているところがありますが、水酸化鉄の塊(鬼板と呼んでいる)しかありませんでした。
 藍鉄鉱の生成には水が必要だから、川床などの粘土中に見つかるのかなあと思っていたので、あまり山の中の古琵琶湖層には期待していなかったのも事実です。

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 その工事現場、今年になって古琵琶湖層の地層を削りだしました。そして2月には広場の全容がわかるまでに削られて、周りの斜面にはくっきりと、ほぼ水平の(実際にはすこし西へ傾いているらしいが)地層が描き出されてきました。
 その時までなぜ私がそこへ立ち寄らなかったかは分かりませんが、11日の夕方に仕事が終わるのを見計らって、初めて工事現場に入れていただきました。

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 削られて平らになった地面を見て回ると、その一部で粘土の中にぽつぽつと藍鉄鉱のジュールが、藍色に染められて見つかりました。それほど数は多くなく、あちらに1つこちらに1つという感じでした。それでも日暮れまでの半時間ほどで、いくつかの標本が手に入りました。その水準まで粘土層が削られる途中に藍鉄鉱を含んだ層があったかどうかはわかりませんが、たぶん無かったのでしょう。この日が来ることを待っていてくれたように思いました。

 そこの藍鉄鉱のノジュールは、幸いに地層に沿ってほぼ水平に分布していました。硬いノジュールがある部分は狭くて、北の方の地面や法面には、土状のものしかありませんでした。土状のものはあちこちに見られ、層になって分布はしていませんでした。数は多いのですが、1つ1つは小さくてボリューム感はありません。

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 藍鉄鉱は名前の通り藍色をした鉱物ですが、最初から藍色をしているわけではありません。もともとは無色の鉱物で、土状のものは粘土から顔を出したときは白色をしています。それが酸素に触れると、緑色から藍色へと変色していくわけです。
 その変色を止めるには、酸素の供給を遮断すればいいので、いくつかの方法が行われています。私は以前いただいた岐阜県五斗蒔の藍鉄鉱を、水を入れた瓶で保存していましたが、ぼろぼろに崩れてしまいました。

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 それで水は使わず、瓶に使い切りカイロと乾燥剤を一緒に入れて密封することにしました。この写真のような粘土中のものは、水に漬けると溶けだしてしまうので当たり前ですが、硬いノジュールもそのようにしてみたのです。時間との勝負で、掘り出して1時間もしないうちに変色が始まっていきます。

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 さて現地の藍鉄鉱の産状ですが、硬いノジュールは小さな葉片状の結晶が集まって、でこぼこの塊になっています。それは佐久良川川床のものと同じですね。1センチ以下の小さなものが多いのですが、中には3センチくらいのもありました。結晶の隙間に粘土が入り込んでいて、それを取り除くのは大変です。兵庫県の産地にあるような他の燐酸塩鉱物は、今のところ見つけていません。

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 土状のものは大部分が2~5ミリくらいの粒が、パラパラと粘土の中に分布しています。まれに1センチくらいの塊も見られました。

 その二日後には工事を終日休んでいたので、近くの石友にも連絡して日中に訪れました。建設会社の方が来られたので話をうかがうと、ボーリングの結果は、少なくとも70m下まで粘土層が続いているとのことでした。古琵琶湖層群は、500mくらいの厚さがあるそうなので、ずいぶんたくさんの堆積物が残されているんですね。

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 地表に現れた藍鉄鉱のノジュールはブルトーザーなどで削られて、先の写真のように藍色の粉をふいていますが、地層の内部ではこのように粘土にくるまれています。掘り出して水洗いすると、無色ではなくてやや緑色になっているように見えました。

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 土状の藍鉄鉱は、このような筋になっていることがあります。これは植物の根のあとに沈殿したものではないかと思います。

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 削られた法面には亜炭の層もあり、小さな琥珀が見つかったようです。粘土の色は灰色のものもありますが、藍鉄鉱を含むのは青みががった粘土層に限られていました。

 造成工事はそのあとも続いたので、ときどき様子を見に寄ることにしました。

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コメント

おだまき さん はじめまして。時々見させてもらっていますが、東近江市の藍鉄鉱のお話は興味深く読ませていただきました。
藍鉄鉱がお好きなんですね。私は押部谷の藍鉄鉱と燐酸塩鉱物を長年研究しています。
滋賀県の日野町辺りは古琵琶湖層群で、今から20年ほど前に佐久良川へ藍鉄鉱を探しに行ったことがあります。ノジュールの中にオレンジ色の菱鉄鉱の結晶が付いた標本を知人に見せられて、その標本が欲しかったので、駆け出しで何の情報も持たずに佐久良川まで行ったのですが、そんな藍鉄鉱は採れなくて、ちょっとがっかりした思い出があります。蓮華寺のあたりの佐久良川周辺は、
歩いていると牛の匂いがして、神戸の押部谷とよく似たところだなと思いました。2回目に行ったときは雨の後だったせいか、川が増水していて全く藍鉄鉱も得られず、泣く泣く帰ってきたこともありました。
突然コメントしてすみません。
変な言い方ですが、私も藍鉄鉱が大好きなので、藍鉄鉱のことを書かれていると、どうしても気になって少しお話したくなりました。

投稿: Jonathan Archer | 2020年4月29日 (水) 06時50分

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